施設介護と在宅介護の大きな違いは、「負担がどこにかかるか」です。先に結論を述べると、施設介護は費用負担が、在宅介護は心身や時間の負担がかかります。
本記事では、施設介護と在宅介護の違いを、「負担」という視点で解説します。負担が増えると介護疲れになる恐れがあるので、お互いにとってよい選択をできるようにしましょう。
目次
施設介護と在宅介護の違いとは?
施設介護と在宅介護の違いを言葉の通りに解説すると、「施設で介護する」か「自宅で介護する」かになります。
施設介護は、特別養護老人ホーム(特養)や有料老人ホームなどの施設に入居してもらい、施設に介護をお願いします。入居が伴わないリハビリなどは施設介護に含まれません。
在宅介護は、自宅での介護を指します。訪問介護や訪問看護、デイサービスなどの利用も含まれます。
ここからは、施設介護と在宅介護でかかる負担の違いを解説します。
施設介護で軽減される負担と発生する負担
施設介護を利用した場合、家族の介護負担が減ります。介護は体力的にもメンタル的にも負担が大きいものです。介護する側だけでなく、介護される側にも負担がかかる場合があります。仕事や家事と、介護との両立は、心身ともに負担が大きいものです。
特養や有料老人ホームなどの介護施設では、日常生活から健康管理まで行ってくれます。専門知識を有する介護職員やヘルパーが介護をしてくれるので、安心できるのも施設介護を選択するメリットです。
介護施設には介護ベッドや床ずれ防止用具などの福祉用具が揃っていますし、浴室に寝たままで入れる機械浴を備えていたり、手すりや滑り止めマットで転倒防止対策されています。その点でも施設介護は安心できるといえるでしょう。
一方で、施設介護には費用の負担が発生します。特別養護老人ホーム(特養)は月額5〜15万円、有料老人ホームは月額15〜30万円が目安です。
特養は有料老人ホームと比べると費用負担が少ないですが、約40万人の待機者がいるため、入居までに時間がかかります。要介護3以上が入居条件ですので、要介護度が低度の場合は入居が難しいでしょう。
有料老人ホームは特養よりも費用負担がかかりますが、入居条件は要支援1〜5の方、自立の方なので、入居しやすいです。費用は多くなりますが、特養よりもサービスが充実している施設が多いので、サービス込みで考えてみてください。
介護保険の自己負担額が上限を超えると、「高額介護サービス費制度」や「高額介護合算療養費制度」の対象となるので、そうした制度を利用して負担費用を軽減する方法もあります。
在宅介護で軽減される負担と発生する負担
在宅介護は、施設介護と比べると費用負担が少なくて済みます。訪問介護・訪問看護・デイサービスなどの利用料、福祉用具のレンタル・購入費用はかかりますが、老人ホームの月額費用と比べると費用は抑えられるでしょう。
介護される側にとっては、住み慣れた家で介護してもらえる安心感があります。施設介護だと家族と離れて暮らすことになりますが、在宅介護は家族が近くに居てくれるので安心できるでしょう。
在宅介護で発生する負担は、介護者の体力や時間です。自分の時間を介護に充てることになるのでプライベートの時間が減りますし、仕事や家事と、介護を両立するとなると体力の負担が大きくなります。
在宅介護は、訪問介護・訪問看護・デイサービスを利用して、介護者の負担を減らすことが大事です。全部を一人でやろうとせず、家族と強力したり、介護サービスを利用したり、なるべく負担を減らすようにしましょう。
施設介護は後ろめたいことではない
親を介護施設に入居させることに後ろめたさを感じる方は多いようです。施設介護を選択したことに罪悪感を覚えたり、親に寂しい思いをさせたりしているのでは、と感じる方もいらっしゃることでしょう。
できるだけ自宅で介護してあげたいという気持ちや、他人に介護を任せることに抵抗感があるのもよくわかります。介護で親への恩返しをしたいと考えている方も多いことでしょう。
しかし、介護疲れで共倒れになるのだけは避けないといけません。介護による心身の疲れから、親子関係まで悪くなってしまうことがあります。自分の介護で子供に苦労させてしまっていると感じる状況は、介護される側にとっても辛いものです。
施設に入居させることに抵抗感があるなら、最初はショートステイから始めてみましょう。本人にとっても、知らない人がたくさん住んでいる施設に急に移り住むより、ショートステイで徐々に慣れていったほうが負担が少ないです。
介護施設に合う・合わないもあるので、本人に合う施設を探すという面でもショートステイをおすすめします。介護する側、介護される側がお互い負担の少ない方法を選びましょう。
おわりに:介護疲れにならないように注意
在宅介護は介護者の負担が大きいので、介護疲れにならないように注意してください。認知症を発症すると負担が増えるので、施設介護を検討したほうがよいでしょう。