加齢とともに問題になりやすいのが「食」の問題です。飲み込みにくい、消化に時間がかかる、噛む力が弱くなる、食欲がなくなるなど、食一つとっても非常に多くの問題画発生するもの。
そこで、今回は高齢者食を美味しく食べてもらうためのコツや「低栄養」に関する注意点・対策などについて解説します。
目次
食欲がなくなる原因
加齢によって食欲がなくなる原因として考えられるのは、次のようなものです。
・飲み込みにくくなった
・歯の調子が悪い、入れ歯が合っていない
・味が分からず、美味しく感じない
・おやつ、間食が多い
・運動不足で空腹にならない
・便秘をしやすい
食欲がなくなってしまう理由として上記のようなものが挙げられます。
思い当たる項目があれば、注意をしながら食事を工夫することが大切です。
高齢者が楽しめる食事の工夫
高齢者に配慮した食事について、どのように工夫をすれば良いのでしょうか。
ここからは、高齢者の状況別に最適な「対処」を解説します。
飲み込みにくい
飲み込む力が弱くなっている場合は「とろみ」をつけた食事がおすすめです。
例えば「水溶き片栗粉」を加えたあんかけのようなとろっとした食感の料理を作れば、のど越し良く飲み込みやすくなります。
また、他にも「ゼラチンでゼリー状にする」「粘り気のある納豆を刻んで加える」など、飲み込みやすくした料理を取り入れてみましょう。
歯の調子が悪い、噛む力が弱い
歯の調子が悪い場合や、噛む力が弱い場合は、一口大かつ噛み切りやすい料理がおすすめ。
こうした悩みを抱える方の中には、細かく刻んで食べる方が少なくありませんが、細かく刻んでしまうと口の中でまとまりにくくなり、かえって食べくくなってしまいます。
一口大の大きさを意識し、隠し包丁を入れるなどして噛みやすくなるよう工夫してください。
調理の工夫以外に歯科医院の受診や外出が難しい場合には訪問歯科を利用して、歯の健康を意識することで改善される場合もあります。
味が分かりにくくなった
料理を楽しむうえで欠かせないのが「味」です。
しかし、加齢とともに味覚が低下してしまうことがあります。
このとき、味覚の低下により味が薄く感じてしまい、味の濃い料理を摂ろうとする方がいますが、塩分の摂り過ぎは体の負担になってしまうため、好ましくありません。
味の濃さは控えめにしつつ、「旨味」「香り」「香ばしさ」「食感」などが楽しめるような料理を意識すると、食事を楽しみやすくなります。
便秘による食欲不振
便秘によって食欲不振に陥っている場合は、「水分」と「食物繊維」の摂取を意識することが大切です。
水やお茶などの水分補給はもちろんのこと、水気の多い食材を使用したり、汁物を積極的に出したりして、食事の中からも水分を補給できるような献立がおすすめです。
また、野菜も多めに取り入れ「食物繊維」の摂取も心がけてください。
ちなみに、「ヨーグルト」は整腸作用があるため、便秘がちな方におすすめの食品の一つです。
低栄養の原因と対策
近年「高齢者の低栄養」が問題視されています。
ここからは、低栄養の原因と対策について解説します。
一人暮らし
高齢者の一人暮らしによって低栄養状態に陥ることがあります。
例えば「自炊が面倒で既製品ばかり食べている」「栄養バランスが偏っている」「そもそも食事を摂っていない」など、様々な問題が挙げられるのです。
一人暮らしの場合は、誰かに指摘されたり、注意されることもないため、良くも悪くも自由に過ごすもの。
低栄養は味覚の低下を促進する原因にもなるので、自炊が可能であれば食生活の見直しをしましょう。
簡単で食べやすいレシピを利用する
火を使わない電子レンジだけでできる簡単な食べやすいレシピもネットには多数あります。
例えば茶碗蒸しも簡単に作れます。
【材料2人分(茶碗蒸し用の器2個分)】
卵 1個
白だし 大さじ2
水 150ml
お好みの具(かまぼこ、しいたけ、ぎんなん、海老、鶏肉など)
【作り方】
1.茶碗蒸し用の耐熱容器の1/3程度の高さまで具を入れる。
この時、生の具には一度火を通してください。電子レンジで加熱でも可能です。
2.別の容器で卵を溶き、白だし大さじ2と水150mlを加えて混ぜる。
3.茶碗蒸し用の器に2を注ぎ、ラップはせずに電子レンジで加熱します。
「600Wで40秒」加熱後、「300Wで5分」加熱し、いったん様子を見て、まだ水分が多いようであれば、300Wの加熱を10秒ずつ追加し、表面がなめらかに固まるまで調整する。
300Wがない電子レンジの場合には600Wで2分加熱後10秒ずつ追加してみてください。
取り出す際火傷には十分に気を付けましょう。
介護サービスを利用する
一人暮らしで自炊は難しい高齢者の方は、家族や外部の助けを頼ることも選択肢のひとつです。
地域包括センターでは、介護予防ケアマネジメントという、介護予防事業が効果的かつ効率的に提供されるよう、適切なケアマネジメントを行うことを目的とした事業があります。
介護保険サービスを使って食事を用意してもらう方法もあります。
そういった機関に相談してみるのも一つの方法ではないでしょうか。
おわりに
年齢を重ねると、食にまつわる問題は数えきれないほど発生してしまいます。
病気の原因にもなりかねなく、食の問題には真剣に向き合わなければなりません。
ご自身や家族での対処が難しい場合は、専門機関に相談するなどして、高齢者に最適な対処をすることが大切です。
健康的で楽しい食生活が送れるような工夫を取り入れてみてはいかがでしょうか。